膝の痛み、あきらめないで！運動で筋肉を鍛え、関節の負担を減らす秘訣

2025-01-02 I.B.D

「階段の上り下りがつらい…」

「膝が痛くて、つい動かなくなりがち…」

中高年になると、多くの方が膝の痛みに悩まされるかと思います。
実は、膝の痛みを和らげ、快適な毎日を送るためには、「運動して筋肉を鍛えること」が非常に重要なのです。

「痛いのに運動なんて…」と思うかもしれませんが、安静にし過ぎるとかえって膝の痛みを悪化させてしまうこともあります。
この記事では、膝の痛みの主な原因から、効果的な運動方法、そして食事のポイントまで、専門的な知見に基づき分かりやすく解説します。

膝の痛みを根本から改善し、活動的な生活を取り戻したい方は、是非最後までお読みください。

膝の痛みの正体｜軟骨の消耗と「変形性膝関節症」

中高年の膝の痛みの多くは、変形性膝関節症が原因とされています。
これは、膝の関節にある軟骨がすり減ることで痛みが生じる病気です。

厚生労働省の推計によると、国内には約3000万人もの変形性膝関節症の患者さんがいると言われており、特に50歳以上の女性は男性の1.5〜2倍も多いのが特徴です。

なぜ軟骨がすり減ると痛むのでしょうか？

軟骨がすり減ると、骨と骨が直接ぶつかり合ったり、トゲ状の骨棘（こつきょく）ができたり、削れた軟骨の破片が骨膜を刺激したりすることで、痛みが発生します。

軟骨は再生しにくい消耗品
残念ながら、関節軟骨には血管が通っていないため、一度すり減ると再生に必要な栄養が届きにくく、簡単には再生しません。
加齢による軟骨の減少は、ある程度の老化現象とも言えます。

しかし、たとえ軟骨がほとんどなくても、適切な運動で筋肉を鍛えれば、痛みを感じずに日常生活を送ることが可能になります。

膝の痛みには「筋肉を鍛えること」が重要！関節への負担を軽減

膝の痛みを和らげる上で、脚の筋肉を鍛えることは非常に有効です。

ある調査では、女性の場合、60代で60％、70代で70％、80代で80％もの人が膝の軟骨が減っているという結果が出ています。
これは、女性が男性よりも筋肉量が少ないことが一因と考えられています。

筋肉は、関節を保護し、安定させる役割を担っています。
膝周りの筋肉がしっかりしていれば、体重を効果的に支え、膝関節にかかる負担を大幅に減らすことができるのです。
実際、高齢で軟骨が少ないにもかかわらず、膝の痛みを感じない方は、日頃から適度な運動で脚の筋肉が発達しているケースがほとんどです。

運動をして筋肉を鍛えることで、膝関節への負担が軽減され、痛みが起こりにくくなります。

肥満も膝の敵！適正体重を維持しよう

筋肉を鍛えることに加えて、適正体重を維持することも、関節への負担を減らす上で非常に重要です。
体重が増えれば増えるほど、膝にかかる負担も比例して大きくなります。日頃から体重管理を心がけ、膝への負荷を減らしましょう。

痛みを悪化させない！膝に優しい運動療法と効果的な筋トレ

「痛みがあるのに運動なんて、かえって悪化させそう…」と心配されるかもしれません。
確かに、痛みを我慢して無理な運動をすれば逆効果です。
大切なのは、「痛みが出ない範囲で、無理なく行える運動」を選ぶことです。

世界的に認められている運動療法の中には、変形性膝関節症の診療ガイドラインにも掲載されている、膝に負担をかけずに脚を強化する方法があります。

脚の上げ下げ運動
ベッドなどに仰向けや横向きになり、脚を伸ばしたままゆっくり上げ下げする運動です。膝を曲げないため、痛みを感じることなく膝周辺の筋肉を鍛えられます。
椅子に座った状態での膝の曲げ伸ばし
椅子に座って、膝をゆっくりと曲げ伸ばしする運動です。負荷が軽いため、膝が非常に痛む場合でも始めやすいのが特徴です。

痛みが比較的少ない場合は、無理のない範囲でウォーキングを取り入れてみましょう。
特に、水中ウォーキングはおススメです。
水の中では関節への負担が少なく、水の抵抗が適度な負荷となり、効率的に筋肉を鍛えることができます。

さらに筋肉を効果的に鍛えたい場合は、有酸素運動よりも筋力トレーニングが有効です。
もし可能であれば、スクワットにも挑戦してみましょう。
正しいフォームで行えば、膝周辺の筋肉を総合的に強化できます。

大切なのは、適度な運動を継続すること。続けることで、膝の痛みが徐々に和らいでいくのを実感できるはずです。

【注意点】

もし膝に腫れがある、熱を持っているなど、炎症の兆候が見られる場合は、無理に運動せず、冷やすようにしてください。
運動を続けても痛みが改善しない場合は、速やかに医療機関を受診し、専門医の診断を受けましょう。

運動効果を最大化！栄養バランスの取れた食事の重要性

運動による効果を最大限に引き出すためには、日々の食事も非常に重要です。
基本は、栄養バランスの取れた食事です。

五大栄養素をバランス良く
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を過不足なく摂取することを心がけましょう。
「タンパク質」を意識的に摂取
特に、筋肉の材料となるタンパク質は積極的に摂りたい栄養素です。
肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに良質なタンパク質が豊富に含まれていますので、毎食意識して取り入れるようにしましょう。

サプリメントについて
膝の痛みに良いとされるコンドロイチンやグルコサミンなどのサプリメントが市販されていますが、現時点では、膝の痛みに有効であるという信頼できる科学的根拠（エビデンス）は確立されていません。
サプリメントは医薬品とは異なり、効果が保証されているものではないため、過度な期待はしない方が良いです。
もしサプリメントに頼りたい場合は、医師や薬剤師に相談し、医薬品としてのコンドロイチンなどを検討する方が賢明かもしれません。

ですが、最も大切なのは、サプリメントに頼る前に、適切な運動療法と栄養バランスの取れた食事を継続的に実践することです。
筋肉を鍛えなければ関節への負担は減らないので、根本的な痛みの改善には繋がらないと思います。